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成年後見人の選任

保佐人について

(1) 保佐の開始について

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者について、本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人または検察官の請求によって、家庭裁判所が保佐開始の審判をしたときに、保佐が開始します(民法11条、876条)。

保佐人は、このような保佐開始の決定がなされた場合のほか、保佐人が欠けた場合や家庭裁判所が必要と認めたときにも、上記に掲げた者の請求により、または家庭裁判所の職権により選任されます(民法11条、876条の2第2項)。保佐人は1人でも複数でもよく、また法人でも認められます(民法876条の2第2項)。

(2) 被保佐人の行為能力について

保佐開始の審判を受けた※被保佐人が重要な法律行為(民法13条1項)を行う場合には、保佐人の同意が必要となります。
※被保佐人
 補佐開始の審判を受けた者をいいます
※保佐人
 被保佐人を保佐する立場の者をいいます
ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、例外的に被保佐人は保佐人の同意がなくても行うことができます(民法13条1項ただし書)。
被保佐人が保佐人の同意を得なければならない行為には、以下のようなものがあります。
(ア) 元本を領収し、または利用すること(民法13条1項1号)。
元本というのは、利益や収入を生じる元となる財産または権利のことをいいます。被保佐人に元本の領収を認めると、被保佐人がそれを浪費してしまう危険があります。したがって、貸してあるお金を領収したり、不動産を誰かに賃貸することは保佐人の同意が必要となります。
(イ) 借財または保証すること(民法13条1項2号)。
借金をしたり、保証人になったりすることです。手形を振出したり、時効完成後の債務を承認することも含まれるとされています(判例)。
(ウ) 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること(民法13条1項3号)。
不動産賃貸借の合意解除、電話加入権、株式・著作権等の知的財産権処分が該当します。
(エ) 訴訟行為をすること(民法13条1項4号)。
訴訟の原告になることです。相手方が提起した訴えについて訴訟行為をする場合には、保佐人の同意は要しません。
(オ) 贈与、和解または仲裁合意(仲裁法2条1項)をすること(民法13条1項5号)。
負担付きでない贈与を受ける場合は、同意は必要ありません。また、和解には、裁判上の和解と裁判外の和解の双方が含まれます。
(カ) 相続の承認もしくは放棄または遺産の分割をすること(民法13条1項6号)。
相続の承認には、単純承認(民法920条)のほか、限定承認(民法922条)も含まれます。相続に同意が必要とされる理由は、相続を承認すると、被相続人の負っていた債務も相続するからです。
(キ) 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付き贈与の申込みを承諾し、または負担付き遺贈を承認すること(民法13条1項7号)。
負担付きの贈与を受けたり、負担付き遺贈を承認することは、本人がそれによって義務を負うことになるため保佐人の同意を要することとされています。
(ク) 新築、改築、増築または大修繕をすること(民法13条1項8号)。
こうした契約を締結することによって本人は大きな債務を負うことになるため保佐人の同意を要することになっています。
(ケ) 民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること(民法13条1項9号)。
長期間にわたる賃貸借契約を締結することは、結局当事者を長期間拘束することになるため、保佐人の同意が必要となります。
また、場合によっては、家庭裁判所は、民法13条1項に掲げられていない行為についても、保佐人の同意を要するという審判をすることができます(民法13条2項)。
保佐人の同意を要する行為について、被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず、保佐人が同意をしない場合には、被保佐人の請求により、家庭裁判所は、保佐人の同意に代わる許可を与えることができます(民法13条3項)。

(3) 保佐人の職務について

保佐人は、被保佐人が民法13条1項に規定されている重要な法律行為を行うことについて同意権を有しています。保佐人の同意を要する行為について、保佐人の同意を得ないまま、または家庭裁判所の許可を得ないまま被保佐人が行為を行った場合には、その行為は取消しの対象となります(民法13条4項)。

家庭裁判所は、保佐開始の審判を請求できる者、または保佐人もしくは保佐監督人の請求により、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する審判をすることができます(民法876条の4第1項)。この代理権の付与は被保佐人のために認められるものであるから、被保佐人本人以外の者の請求によって代理権付与の審判を行うには、本人の同意が必要となります(民法876条の4第2項)。

もっとも、保佐人がその職務を行うにあたっては、被保佐人の意思を尊重し、かつその心身の状態および生活の状況に配慮しなければなりません(民法876条の5)。

(4) 臨時保佐人・保佐監督人について

保佐の場合、成年後見の場合とは異なって、保佐人と被保佐人との間で取引が行われることがあり得るため、そのような場合には、保佐人と被保佐人との利益が相反する場合には臨時保佐人が選任され、この臨時保佐人が保佐人に代わって同意することになります(民法876条の2第3項)。ただし、保佐監督人が選任されている場合は、この保佐監督人の同意でよいことになります(同項ただし書)。

家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被保佐人またはその親族もしくは保佐人の請求によって、または家庭裁判所の職権によって、保佐監督人を選任することができます(民法876条の3第1項)。保佐監督人は、後見監督人と同様、任意の機関であり、1人でも複数でも、法人でもかまいません(民法876条の3第2項)。

(5) 保佐の終了について

保佐の終了には、成年後見の終了と同様、絶対的終了と相対的終了とがあります。絶対的終了原因は、被保佐人の死亡と保佐開始の審判の取消しです。一方、相対的終了原因は、保佐人の死亡、保佐人の辞任。解任および欠格事由の発生です。

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